ども!岸尾です。
今回は僕個人がもう待ちに待っていた作品がやっと!!やっと!!劇場で公開されたので早速見に行ってまいりました!!
劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン
はい、後で詳しくお話するけども、もうね泣きに泣きまくりました。映画館であそこまで延々泣き続けたのは初めてかもしれないってほどに(笑)
それは単純に僕が京アニ、しいてはこのヴァイオレットエヴァーガーデンのファンだからということが大きいとは思うんだけども。
なによりあの凄惨な事件から1年と少し経った今現在に京アニが以前と変わらぬクオリティで帰ってきてくれた喜びが大きいこともまた事実であって。
なんかもう色んな感情がごちゃごちゃになってひたすら涙が溢れてきました。
もし、これを読んでいる人でまだ見に行ってない方がいましたら前提としてお伝えしたいのが
TVシリーズを見ていないと100%楽しめないよ!ということです。
なぜなら、この劇場版はTVシリーズからの続編であり、いわばヴァイオレットという人物の
“あいしてるの意味を探す旅”の終着点。完結編というわけです。
もちろん、この作品単体としてみても感動できるシーンは多々あると思います。
ですが、TVシリーズを見ているからこそ感動が深まる構成になっていますのでぜひTVシリーズをご覧になってから鑑賞することを強くオススメします。
ではでは早速、鑑賞後の感想を踏まえつつ、良かった点を大きく3つのポイントに分けてお伝えしたいと思います!
ストーリーの構成が卑怯
まず一つ目のポイントは「ストーリーの構成が卑怯」ということです。
何が卑怯か結論から言うと“映画の冒頭に、TVシリーズで最も多くの視聴者が涙したであろうワンシーンをぶっこんできた”ということです。
はい、これが本当にズルいと思います。恐らく、TVシリーズで多数の視聴者が涙してしまったであろうあのシーンが開始5分で流されます。
「お前らTVシリーズの予習はしてきたんだろ?ほら、お前らの大好きな名シーンだぞ?泣けよ」
…という制作側の意図がありありと見えてしまう流れなんですが、果たしてこれに耐えきれる視聴者は全体の何パーセントでしょうか?少なくともTV版のこのシーンを見て泣いてしまった人はここでうるっときてしまうと思います。
そしてこの冒頭で少しでも涙腺を緩められてしまうと、その後はひたすら感動の暴力が押し寄せる展開なので涙腺を緩められた我々が堪え切れようはずもありません。完全敗北であります。
僕自身も「まぁ、ラスト辺りは絶対泣くだろうな。」と余裕ぶっこいていたら開始5分でKOされ、残り2時間オーバーキルされました。
少し熱が入ってしまいましたが、やはりこの冒頭のシーンが有るか無いかで物語の没入具合は大きく変わってくると思いますし、ただやみくもに感動させるためだけに使ったのではなくそのお話の未来を描いて物語全体の軸を作っていくという構成がお見事でした。
登場人物達の“誰か”に対する想いに涙する
次に二つ目のポイントは「登場人物一人一人の誰かに対する想い」です。
もともとTVシリーズからこの作品の感動できるポイントって「誰かに対する想いや願い」だと僕は思うんです。
心を持たない主人公のヴァイオレットが、想い人であるギルベルトの遺した言葉「あいしてる」の意味を自動手記人形サービス(いわゆる代筆屋)を通じて見つけていくっていうのがおおまかなストーリーなんですが
TVシリーズではヴァイオレットに依頼してきた依頼者の想いに泣かされることが多くて、ヴァイオレット自身やその身近な人に心動かされて泣けるシーンは少なかったと思うんですよね。
それが、この劇場版では逆でヴァイオレット自身やその身近にいる人物達の、誰かに対する想いが強く描かれているように感じました。
今作でも新たな依頼者となる人物は登場して、その話の中で感動するシーンはあるんですが全体で見ればそれはエッセンス程度で、今作はヴァイオレット・エヴァーガーデンと彼女を取り巻く人物達の物語なんです。
(エッセンス程度と言いましたが“手紙で伝える”ということにこだわらず“彼の想いを伝える”ということを優先する手段をとったあのシーンは、この作品のテーマを象徴するものだったと思います。ちなみに僕はそのシーンでもボロ泣きしました)
登場人物達の想いが交錯していた本作。鑑賞して自分なりに感じたものをリストアップしてみました。
ヴァイオレット➡ギルベルト
親愛、もう一度会いたい
ギルベルト➡ヴァイオレット
親愛、彼女を想い考えての拒絶
ホッジンズ➡ヴァイオレット
親心に似た感情、幸せになってほしい
ディートフリート➡ヴァイオレット
ギルベルトに対しての想いの共感。
過去の後ろめたさ。
ディートフリート➡ギルベルト
親愛、もう一度会いたい(不器用)
幸せになってほしい、兄弟としての清算
ホッジンズ➡ギルベルト
葛藤、ギルベルトに対しての親友という立場とヴァイオレットに対しての親心の狭間で揺れる。
ホッジンズ⇔ディートフリート
恐らく二人が願うもの(=ヴァイオレットとギルベルトの幸せ)は同じだがやり方が違うのでそりが合わない。
これを書いているときに気づいたことは“他の誰か➡ヴァイオレット・ギルベルト”の想いや感情が分かるシーンは多かったのですが“ヴァイオレット・ギルベルト➡他の誰か”の明確な想いや感情は今作ではあまり描かれてなかったかなということです。
もちろんヴァイオレットにしてみればホッジンズや仕事仲間は他人以上の関係ではありますが、あくまで今回の劇場版はヴァイオレットとギルベルトの二人にフォーカスを当てた物語でどれだけ二人がお互いのことを強く想っていたかも伺えます。
それ以外にも、TVシリーズでは語られることのなかった部分。
・なぜギルベルトはヴァイオレットの元に戻らなかったのか。
・ディートフリートが弟のギルベルトに対してどう思っていたか。
・ホッジンズがいかにヴァイオレットのことを慈しんでいたか。
・ディートフリートとヴァイオレットのその後の関係。
などなど。
それぞれの気持ちが爆発するシーンもあれば、表情の変化やしぐさなど細やかな部分でも見ているこちら側に訴えかけてきて思わず涙ぐんでしまうシーンが多々ありました。
表情の変化や細やかなしぐさでうるっときてしまう理由は次の項目でお話したいと思います。
~チョコッと豆知識~
ヴァイオレットが自動手記人形として働く、美しく華やかな街ライデン。実はオランダにライデンという都市があるんですが、アニメのライデンと実在するライデンは似たような雰囲気はありつつも一致している場所はほとんどなくアニメのライデンは架空の都市と言われているようです。
ただ、ヴァイオレットが働く拠点でもある「C.H郵便社」は日本国内にモデルとなった建物があります。それが京都府京都文化博物館です。そっくりそのままというわけではありませんが京都に行く際はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?
揺らぐことのない京アニクオリティの作画と音楽
「京都アニメーション」と言われて皆さんはなにを思いつくでしょうか?
「けいおん!」「らき☆すた」「涼宮ハルヒの憂鬱」「クラナド」「氷菓」など今でも名作と言われる作品達や
最近の作品だと「free!」「響け!ユーフォニアム」「ツルネ -風舞高校弓道部-」など恐らくそれぞれ思い入れのある作品や聞いたことのある作品が一つぐらいはあると思います。
京都アニメーションが手掛けるこの作品群に共通した魅力が一つだけあります。
それは「キャラクター達の日常を大切にしていること」です。
僕が思うに、京アニって他のアニメ会社の作品と比べてもキャラクター達の何気ない生活感の描写が圧倒的に多いんですよね。
京アニは学生が主人公の題材を扱うことが多いので、その日常というのは“何気ない廊下での立ち話”であったり、“下校途中の寄り道のワンシーン”であったりと学生が常日頃から行っている当たり前な生活サイクルの一部です。
でもそのワンシーンが強烈に頭に残ったり、喋ったり笑ったりしているその何気ない日常の姿をもっと見ていたいなとなるんです。(なんかちょっと言い方キモイけどファンの方は分かってくれるはず)
それはなぜかというと恐らくキャラクターの細やかなしぐさや表情の一つ一つがちゃんと考えられているということと、背景や建築物などが美しく現実と見間違うほどリアルに描かれているからです。
この緻密に作りこまれた世界が京アニ独自の魅力でありそれはこのヴァイオレット・エヴァーガーデンでも変わることはありません。
ヴァイオレットが暮らすあの世界の美しさと、思わず表情の変化だけで泣けてしまうほど繊細に描かれたキャラクター達。まるで絵画の芸術鑑賞をしているような感覚になるこの二つの要素を劇場の大画面で楽しめるだけでも贅沢というものです。
そしてその世界をさらに広げてくれるのが、TVシリーズから続投のEvan Call氏が手掛ける華やかさと寂しさを掛け合わせたような音楽たちです。
今作を鑑賞していて音楽って映画で本当に重要な要素だなということを改めて感じることができました。ただでさえ感動するシーンが音楽の力で何倍にも膨れ上がるんですよね、特にラスト辺りのギルベルトがヴァイオレットに会うために海岸を走るシーンの「みちしるべ」の構成は完璧すぎて正に音楽の効果で感動が更に強まったシーンだったと思います。
まとめ・個人的な感想
以上、今作の良かった点をなるべくネタバレを抑えめに3つのポイントでまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?
個人的な主観での意見も多く混じっているのであくまで個人の感想としてお読みいただけると幸いであります。
正直まだまだおすすめしたいポイントはめちゃくちゃありますし、鑑賞された方とガッツリ語り合いたい気持ちでいっぱいです(笑)
ここからは個人的に話したい事なので興味ない方はスルーでどうぞ(一部がっつりネタバレします)
今回僕が一番感情移入してしまった人物がクラウディア・ホッジンズでして。今作は彼の魅力が大爆発していたと思うんですよ!
ギルベルトが消息を絶った後、彼から託されたヴァイオレットの一番近くにいて彼女のことを一番心配していたのは多分彼なんですよね。それは決して恋愛感情ではなく職場の上司だからというわけでもなく、親心に似た感情だと思うんですが。
そしてそんな消息を断っていたギルベルトとも陸軍時代の元同期であり親友という関係でもあるのでヴァイオレットとギルベルト両者と深く関わりのある人物なんです。
TVシリーズではヴァイオレットのことは心配しつつも「C.H郵便社」の社長という立場もありなかなかストーリーに深く関わってくるといったシーンは少なかった印象でした。
ですが、今回の劇場版では、“ヴァイオレットのために”という一心で様々な行動を起こしそれがもう僕の心に刺さりまくりました(笑)
説得してもヴァイオレットに頑なに会おうとせず、挙句彼女を泣かせてしまうギルベルトに「おおおおおおおばかやろおおおおぉぉぉ!!!!」と激しく叱咤したり、かつてヴァイオレットを捨てたディートフリートの胸倉を掴みかかったりなどTVシリーズではあまり見せなかった激しい一面を覗かせます。ですがそのどれもがヴァイオレットのためであり、彼女の“あいしてるの意味を探す旅”を近くで見ていた彼だからこそ彼女に幸せになってほしいと切に想い続けたゆえの行動なのだと見ていて感じました。
そして極めつけは通信塔が完成し花火が上がるラストシーン近くのホッジンズ…。
このシーン音声は無くBGMのみの演出なんですが、ホッジンズがいつも通りヴァイオレットに話しかけようと後ろを振り向くんですがそこにいつもいたはずの彼女はいないという。。。そしてその事実を受け止めて少し悲しそうな表情をしたホッジンズをベネディクトが励ますって。。。
いや、泣くだろ!こんなの!山場越えて涙がちょっと引いた辺りでいきなりぶっこんでくるのはずるいって…。
彼はヴァイオレットのことを恋愛感情としてではなく親心のような目で見ていたっていう部分が大きくて、その感情は恐らく視聴者のヴァイオレットに対する意識とかなり近しいものがある気がするので彼は実は視聴者の心に限りなく近い立ち位置の人物だったのかもしれませんね。まぁ、僕がそうだっただけかもしれませんが(笑)
というわけで、全てにおいて期待していたものをはるかに超える完成度のものを出されておなかいっぱい、胸いっぱいの気持ちで劇場を後にすることができました。
感情のない人形だったヴァイオレット・エヴァーガーデン。そんな彼女のあいしてるの意味を探す旅の終着点をあなたも心に焼き付けてきてはいかがでしょうか。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。では。
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